「入れ歯が合わない」「短い期間で見た目も噛み心地も整えたい」――そんなお悩みに、オールオン4(All-on-4)という選択肢があります。
片あご4本のインプラントで歯列全体を固定する設計により、条件が合えば手術当日に仮歯で会話や軽い食事の再開を目指せます。
ここでは、仕組み/向き・不向き/治療の流れ/費用と期間の考え方/長持ちのコツを、専門用語をできるだけ減らして丁寧に解説します。
読み終える頃には、「自分には何が合うのか」「何から相談すればよいか」がクリアになるはずです。

オールオン4の基本:4本でどうやって全体を支えるの?
オールオン4は、前歯側に2本を垂直に、奥歯側に2本を傾斜させて埋入し、4本のインプラントでアーチ全体(10~12本相当)を固定する治療法です。
失った歯の本数分インプラントを入れる従来設計と異なり、本数を抑えつつ固定式の噛み心地を目指せるのが特長。
後方を傾斜させることで骨の厚み・硬さを活かしやすく、骨移植を回避できる可能性も高まります。
当グループの考え方は、まず一般的なインプラント治療の全体像を知っていただくこと。そのうえで、総入れ歯・多数歯欠損の方にオールオン4を候補としてご説明します。
概要はインプラント総合ページ、詳細はオールオン4専用ページをご覧ください。

向いている方の目安
- 総入れ歯(またはそれに近い状態)で、ズレ・外れ・痛みがストレスになっている
- 取り外し式ではなく固定式の歯で生活したい
- 仕事や行事の予定があり、短期間で見た目・会話を回復したい
- 「骨量が少ない」と言われたが、大掛かりな骨移植は避けたい
注意が必要なケース
重い全身疾患、強い喫煙習慣、口腔衛生の不安定さ、噛む力が非常に強いなどは、設計や本数の調整、術前の準備が必要です。
また、オールオン4は設計上、残っている歯を抜歯して無歯顎として整えるケースが少なくありません。
「できるだけ天然歯を残したい」方は、部分インプラントや入れ歯との比較検討も大切です。

治療の流れ:初回相談から最終の歯まで
STEP1|相談・検査
現在の困りごと、生活スタイル、既往歴・服薬を丁寧に伺い、レントゲン・CT・口腔内写真を確認します。
ここでオールオン4以外の選択肢も含めて比較し、後からの「想定外」を減らします。
全体の進み方はインプラント治療の流れにまとめています。
STEP2|設計(シミュレーション)
CTと歯列データを重ね、最終的な噛み合わせから逆算して埋入位置・角度・本数を決定。
後方2本の傾斜角、上部構造(最終の歯)の固定位置、清掃性、強度、審美ラインまで先回りして検討します。
この「設計の精度」が、安全性・仕上がり・長期安定に直結します。
STEP3|一次手術(インプラント埋入)
局所麻酔に加え、必要に応じて静脈内鎮静法を併用し、不安や恐怖感を抑えて進めます。
計画通りに4本を配置し、奥の2本は傾斜埋入。術後の腫れ・痛みはお薬と生活指導でコントロールします。
STEP4|仮歯の装着(条件が整えば当日)
強く噛み砕く硬さには向きませんが、見た目・会話・やわらかい食事を支える仮歯を固定します。
手術当日から「人前で話せる・笑える」安心感が戻るのは、オールオン4の大きな魅力のひとつです。
STEP5|骨との結合(数か月)
インプラントと骨が結合して“支え”として安定する期間です。
清掃・禁煙・睡眠・栄養など、治癒を後押しする生活がいちばんの近道になります。
STEP6|最終の歯を装着
噛み合わせ・清掃性・見た目を最終調整し、強度と審美性を両立した上部構造を装着。
ここからが本当のスタート。定期検診とホームケアで長く快適に使っていきます。
よくある疑問はよくある質問も参考になります。

メリットと注意点をフェアに理解する
主なメリット
- 本数が少ない:片あご4本前後で済むため、身体的・経済的負担のバランスを取りやすい
- 当日に仮歯(条件付き):見た目・会話・軽い食事が早期に可能
- 骨移植を避けられる可能性:後方2本の傾斜埋入で骨の良い部位を活かしやすい
- 固定式の安心感:入れ歯の「ガタつき」や外れる不安を軽減しやすい
注意点(ここは大切)
- 外科処置:全身状態・服薬・生活習慣の確認が不可欠
- 残存歯の抜歯:設計上、残っている歯を抜いて全体設計にする場合がある
- メンテナンスが“本体”:定期検診とセルフケアなしでは長持ちしない
- 噛み合わせ管理:歯ぎしり・食いしばりにはナイトガード等の対策が重要
不安が強い方は、静脈内鎮静法のページもご参照ください。
手術中の不快感や恐怖心を下げる手段について、より詳しく説明しています。

期間と費用の考え方:見積は「比較表」で
期間は、検査→設計→手術→仮歯→治癒→最終の歯の節目で考えると見通しが立ちます。
条件が整えば当日仮歯で早期に日常復帰が可能。最終装着までの間も噛み合わせの微調整を重ねます。
費用は本数や材料、前処置の有無で変動します。項目別の比較表で提示してもらうと納得感が高まります。
分割や医療費控除、保証・メンテナンス費用まで含め、総額で把握しましょう。
参考:オールオン4の詳細/
インプラント治療の流れ
入れ歯との違い:固定式で変わる毎日
入れ歯は取り外せる自由さがある一方、ガタつき・痛み・食べかすの挟まりに悩む方も少なくありません。
オールオン4は固定式のため、会話や笑顔、写真撮影、食事の場面での安心感が大きく変わります。
ただしその良さを長持ちさせるには、清掃しやすい設計と正しいセルフケアが必須です。
日々のケアは、よくある質問のページでもポイントをまとめています。
長持ちのコツ:今日からできる4つ
- 定期検診の“仕組み化”:半年~1年に一度の点検をカレンダーに固定(むしろ先に予約を入れておく)
- 清掃道具の“自分最適化”:歯間ブラシの番手・当て方、フロスの通し方を自分仕様に
- 噛み合わせの保護:食いしばり・歯ぎしり傾向にはナイトガードで早めに予防
- 治癒を後押しする生活:禁煙・睡眠・栄養・運動を“できる範囲で”整える
よくある質問(やさしく回答)
Q. 手術は痛い?怖くない?
施術中は麻酔で痛みを抑え、必要に応じて静脈内鎮静法で不安も軽減します。
術後の腫れや鈍痛は数日~1週間ほどで落ち着くことが多く、痛み止めや冷却、就寝時の姿勢などを工夫して乗り切れます。
Q. 本当に4本で大丈夫?
4本は基本設計です。骨の状態や噛む力、清掃性などを見て5~6本に増やす判断を行うこともあります。
大切なのは“最小本数”ではなく、安全性と長期安定です。
Q. 入れ歯から移行できる?
可能です。口内環境の整備(歯周治療・抜歯・仮歯調整など)を経て、段階的に移行します。
お仕事や行事の予定に合わせた無理のないスケジュールを一緒に作りましょう。
Q. いつから普通の食事に戻せる?
仮歯の期間はやわらかい食事が基本。最終の歯に置き換えた後も、最初は様子を見ながら段階的に慣らし、
微調整を重ねて「噛める範囲」を広げていきます。
まずは相談から。あなたに合う方法を一緒に
オールオン4は、少ない本数で固定式の歯を取り戻す合理的な選択肢です。
とはいえ、誰にでも万能ではありません。良い点と注意点を同じテーブルに並べ、体調・生活・価値観に合うかを丁寧に検討しましょう。
具体的な進め方や期間・費用の目安は、オールオン4の詳細と
インプラント治療の流れを併せてご覧ください。
「まずは相談」だけでも大歓迎です。
相談はこちらから。