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根管治療について

根管治療について

根管治療(こんかんちりょう)とは、歯の中にある神経(歯髄)を取り除く治療です。むし歯が進行して神経まで達すると、ズキズキと強い痛みが出ることがあります。そのまま放っておくと神経が死んで痛みは一時的に治まりますが、歯の根の先に膿が溜まってまた痛みがぶり返すことがあります。さらに悪化すると歯のほとんどが壊れてしまい、抜歯が必要になることもあります。

抜歯のリスクを減らすために、根管治療は有効な選択肢となります。

日本における根管治療の失敗率

日本と海外では、根管治療の成功率に大きな差があります。海外では成功率が高いのに対し、日本では不成功率が高いのが現状です。その背景には、治療の質を高めるために必要な高精度な医療機器が、日本ではあまり使用されていないという問題があります。

根管治療の精度を
上げるための工夫

当院では、根管治療の成功率を高めるために以下のような装置・器具を使用しています。

ラバーダム防湿

02ラバーダム防湿

根管治療は、非常に繊細で感染管理が重要な治療の一つです。そのため当院では、治療の精度と安全性を高めるために「ラバーダム防湿」を基本的に全症例で使用しています。ラバーダムとは、治療する歯だけを口腔内から隔離するゴム製のシートのことで、治療中に唾液や細菌が根管内へ侵入するのを防ぐ役割があります。これにより、無菌的な状態を保ちやすくなり、根管内の再感染のリスクを大きく減らすことができます。

また、使用中は舌や頬が治療部位に触れにくくなるため、歯科医師がより集中して正確な治療を行うことが可能になります。感染予防と治療成功率の向上を目指す上で、ラバーダムの使用は非常に重要な工程と考えています。

歯科用カールツァイスルーペ

03歯科用カールツァイスルーペ

当院では、精密な処置が求められる根管治療において、ドイツの最高峰レンズメーカー「カールツァイス社製」の歯科用ルーペ(4.3倍)を使用しています。

このルーペは、医療現場や宇宙開発の分野でも採用されている高精度な光学機器です。肉眼では見えにくい歯のわずかな隙間や根の奥深くまで鮮明に確認できるため、治療の質を大きく高めることができます。

カールツァイス製ルーペを用いた
治療のメリット

  • 健康な歯をできるだけ残せる
  • むし歯の部分だけを正確に見分けて取り除くことができ、削りすぎを防ぎます。

  • 痛みや不快感の軽減
  • 精度の高い視野によって処置の的確さが増し、余計な刺激を与えずに済みます。

  • 詰め物・被せ物の精度向上
  • 拡大視野により微調整が可能となることで補綴物の適合性が向上し、再治療のリスクを軽減できます。

  • 汚れ・歯石の取り残しを防ぐ
  • 歯のクリーニングやメンテナンスでも、より丁寧な処置が可能です。

当院では、「目に見える安心」と「丁寧な治療」を大切にしています。「何をされているのか分からない」「削られすぎていないか不安」と感じる患者さまにも信頼して治療を受けていただけるよう、精密な視野を確保できるルーペの活用を徹底しています。

ニッケルチタンファイル

04ニッケルチタンファイル

根管治療はむし歯が歯の神経まで達した場合に、感染した神経や細菌を丁寧に取り除き、根の中を清掃・消毒していく繊細な治療です。この治療の成否は、どれだけ根管内を正確に、かつ安全に処置できるかに大きく左右されます。

当院では、この精密な処置をより確実に行うために、「ニッケルチタンファイル(Ni-Tiファイル)」という専用器具を使用しています。ファイルとは、歯の根の中(根管)に挿入し、感染した神経や汚れを掻き出すための細い器具です。非常に細い根管内をきれいにするには、適切な柔軟性と精密な操作性が求められます。

ステンレス製とニッケルチタン製の違い

根管治療で使用されるファイルには、主に以下の2種類の素材があります。

ステンレス製ファイル

比較的硬く、まっすぐな根管に適しています。しかし、湾曲した根管には追従しにくく、根の壁を削りすぎてしまうリスクがあります。

ニッケルチタン製ファイル

非常にしなやかで柔軟性が高く、複雑な形状の根管にもフィットしやすいのが特徴です。根の形を傷つけず、自然な形を保ったまま安全に清掃できるため、成功率の高い根管治療に欠かせない素材です。

当院がニッケルチタンファイルを採用する理由

当院では、1本1本の根管治療に細心の注意を払い、再発リスクの少ない治療を心がけています。そのため、すべての根管治療において、ニッケルチタンファイルを標準使用しています。
そうすることで、当院では、以下のようなメリットを患者さまに還元できると考えています。

  • 根の形を無理に削らず、歯の寿命をできるだけ延ばせる
  • 湾曲した根管も正確に・安全に処置できる
  • 治療中のファイル破折のリスク軽減につながる
  • 再治療のリスクを抑えられるため、予後を良好に保ちやすい

MTAセメント

当院では、根管治療の中でも特に重要な最終的な封鎖処置において、「MTAセメント(Mineral Trioxide Aggregate)」を
積極的に使用しています。

05MTAセメント

MTAセメントは生体との馴染みが良く、隙間をしっかり塞ぐ性質があるため、根の先端に直接薬を詰める治療や、穴があいてしまった部分の修復、誤って根に穴を開けてしまったケースなど、これまでの材料では難しかった症例でも良好な結果が得られることが多く報告されています。

また、MTAは治癒促進作用も持ち、正しく使うことで歯を抜かずに済む可能性が高まります。当院では、症例ごとの状態を慎重に見極め、MTAの効果が最大限に発揮できるよう配慮した治療を行っています。

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